先日、こども家庭庁が保育DXの実現に向けた提言を公開し、保育のデジタル変革の必要性を訴えました。
今回は「保育DXとは何か?」「どんなことが言われているのか?」「どう変わっていくのか(今後の展望)」といったことについてまとめてみました。
目次
【保育DX化とは】
「こどもまんなか」の社会において、子育て家庭や子どもたちへの全面的な支援が欠かせません。その実現のため、保育施設や関連事業者の業務効率化や負担軽減が求められています。
「保育DX」とは、デジタル技術を活用し、保育業界の業務効率化やデータ活用を進める取り組みを指します。特に以下の3つの重点方針を軸にするとされています。
● 保育施設のDX基盤として、保育ICTの導入率100%を目指す体制整備
● 自治体のDX基盤として、自治体管理プラットフォームの標準化・共同調達支援
● こども政策EBPMに向け、保育施設レジストリの構築・運用
デジタル技術の進展は、社会全体の生産性向上やサービスの質の向上を促進する要因となっており、保育業界も例外ではありません。
保育施設や子育て関連事業者の業務負担軽減と、子どもや子育て家庭への更なる支援は、今後の社会における中心的なテーマとして注目されます。しかし、多くの保育施設ではアナログ中心の業務が行われており、効率化の余地が確かに存在します。
【保育DXのメリット】
デジタル化によって、保育現場の業務負担が大きく軽減されることが期待されています。これを実現すると、資質の高い保育者の確保・育成、保育の質の向上、そして行政職員の業務効率化など、多岐にわたるメリットがあると言われています。
【どんなことが言われているの?:保育DX実現に向けた10の提言(こども家庭庁)】
保育DXを実現するための提言について簡単にまとめてみました。
1. ICT導入補助の拡大
保育施設内の業務が省力化されることを目的として、現状のICT補助金の対象を拡大し、端末補助(「最低でも保育室に1台以上」は設置可能な水準)を強化することで、業務効率化を図る。
2. 保育業務のBPR推進
新しい業務フローを作り出すことで、職場環境の改善や職業の魅力向上を図る。
ICTを活用した新しい業務の流れと、そのガイドラインを公開する。
3. 職員のICT活用スキル向上
職員の仕事の質や働きやすさを向上させるため、求められるスキルを決め、研修を通じてスキルアップをサポートする。
4. 官民連携でのICT導入推進
行政職員の業務効率化や迅速な対応を可能とするため、各関係者間の連携を強化し、地域ごとのICT導入を効果的に進めるための会議設置や計画策定を行う。
5. ICTの導入メリット強化
子どもたちへの高品質な教育や保育の提供に繋がるICTの利点を最大限に活用するため、施設のデータデジタル化や自治体とのデータ連携を推進する。
6. 保育施設管理PFの構築支援
保護者や行政が施設の状況やニーズを迅速に把握するため、一元的な情報管理プラットフォームの構築と普及を促進する。
7. 保育ICTとの連携推進
子どもデータの連携の実現や支援が必要なのに届いていない人への支援を強化するため、ICTツール間の連携を向上させる。
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8. 給付・監査のオンライン化
行政職員の業務省力化を図るため、紙ベースの給付や監査業務をオンライン化し、研修やサポートを提供する。
9. 保育施設レジストリの構築
施設の情報が一元的に管理され、保護者や行政が迅速に情報を取得できるようにするため、一元的な「レジストリ(まとめて情報を保管できるように)」の構築と公開を行う。
10. ここdeサーチの運用見直し
保護者の利便性向上や情報の正確性・安全性確保のため、現状の「ここdeサーチ」の運用や情報提供方法を見直し、改善策を策定する。
【今後の展望】
今後、保育施設におけるICTの導入は、さらに拡大していくことが予想されます。デジタル技術の活用は、子どもたちへの高品質な教育や保育の提供に繋がるとされています。
しかし、ICTの導入だけでは十分ではなく、システムの導入と並行して、各保育施設での業務の見直しも不可欠です。
この業務の最適化を通じて、真の効果を実現することが期待されます。
こども家庭庁の提言を受けて、保育の未来がより明るく、効率的に進化していくことを期待しています。